「もううちに帰ってくるかい?」。新型コロナウイルス(COVID-19)の影響は、もちろん僕にも出ている

「もううちに帰ってくるかい?」。新型コロナウイルスの影響報告日常生活

新型コロナウイルス(COVID-19)は、日々世界を揺り動かしている。そんななかいろんなひとがそれぞれの立場から意見や報告を上げてくれているけど、僕も僕なりの立場から、ここ最近の状況を共有しておこうと思う。

来月いっぱいで、ヘルパー契約を解除したいのですが……

その電話は、夜突然やってきた。いつもお世話になっているヘルパー事業所の責任者さんからの着信があったので出てみると、あいさつもそこそこに、こんな申し出をされたんだ。

あの……四つ這いさんと私たちのヘルパー派遣契約なんですが、来月4月いっぱいで解除したいと思いまして……

正直、これには僕も驚いた。でもとりあえず状況を確かめないとしょうがないから、僕も率直に質問した。

あの……それはつまり、人手が足りなくなってきたからとか、そういうことですか?

はい……こちらのヘルパーも家庭の事情やらいろいろありまして……体調を崩したりしている高齢のヘルパーもいるものですから……

なるほど……確認なんですが、今月3月と4月は予定どおり来ていただけるんですよね?

ええ、今月と来月はだいじょうぶです。ただその先については……

1日入るのも難しいということですね?

はい……相談室さんのほうにも話はしておきましたので、なんとか次の事業所さんを見つけていただければと……

僕はその責任者さんを、基本的に信頼していた。だからそのひとがどうしても無理だと言うなら、ほんとに無理なんだろうと思った。だからこれ以上このひとに怒っても詰め寄ってもしかたがないと思って、

わかりました。残念ですがしかたがないですね。じゃあ来月4月いっぱいまで、どうぞよろしくお願いします

と言って、とりあえず電話を切ったんだ。

僕ではどうにもならないので、どうぞよろしくお願いします

このとき、時刻は夜6時だった。だけど悠長に構えてもいられないと思った僕は、とりあえず相談室さんの緊急連絡先に電話をかけてみたんだ。出てもらえなかったらしかたがないと思ったんだけど、電話はつながった。

こんばんは。夜分にすみません。あの……実はつい先ほどヘルパー事業所さんからこんな連絡がありまして……

僕がそう切り出すと、お相手のかたも

はい、私たちのほうにも報告がありました。5月から来られなくなるという話でしたよね?

と落ち着いて受け止めてくれた。

ええ、そうなんです。なので5月以降対応していただける事業所さんを探していただかないといけなくなりましたので、一応ご確認をと思いまして……

ええ、そうですよね。不安や心配などもあるでしょうが、私たちが相談室としてちゃんと対応しますので、しばらくお待ちいただければ……

はい。そちらも大変ななかだと思いますが、なにぶん僕が直接事業所さんと交渉することもできない立場なので、あなたに頼るしかないですから……。お手数おかけしますが、どうかよろしくお願いします

ここでの会話でもあるとおり、現状の制度では基本的に、僕自身がたくさんの事業所に直接連絡して、ヘルパーさんの打診や打ち合わせをすることは想定されていない。だから高齢者さんの「介護保険制度」における

「ケアマネージャー」

さんのような立ち位置に

「障碍者相談支援事業所」(通称「相談室」)

っていう仲介があって、細かな調整をしてくれることになっている。だからこうなったら、僕にできることは

「辛抱強く待つこと」

だ。基本的に、それしかないんだ。

私が四つ這いさんに嫌われたのかなんて思ってました!

そしてその次にその事業所さんのヘルパーさんが来たとき、僕は様子を見ながら、話を切り出してみることにしたんだ。

あの……実は責任者さんから夜電話来て、来月で契約が終わるということで……

そしたらヘルパーさんも、声を大きくして

はいはい!!なんか私シフト表見たら、「四つ這いさん来月いっぱい」って書いてあって!!

なんて言うもんだから、僕も素直に、

ええ、僕も驚いたんですけど、やっぱりあなたも詳しくは知らなかったんですね。なんか、人手が足りないとかで継続が難しいって言われまして……

って確認したら、

あぁ、そういうことだったんですね……。いや私なんてこないだ四つ這いさんの担当引き継いだばっかりじゃないですか、だから私の対応が悪くて、嫌われたのかなんて思ってました!

なんて言う。

だから僕も強めに、

いやいや、だって別になにか問題を起こしたわけでもないですし、「直接会ってるときはなんでもないふりして、裏で不満溜め込んで急に断ち切る」なんて、そんなのあんまりじゃないですか!むしろ僕のほうが、知らないうちに事業所さんやあなたに嫌がられたのかななんて心配したくらいで……

って伝えたら、ヘルパーさんも即座に

いやいや、四つ這いさんが嫌がられてるとか、そんなことでは絶対ないです!

って否定してくれた。

これには僕もひと安心だったんだけど、ここまで話せたんならせっかくだからもうちょっと、事情を確認させてもらおうと思ったんだ。

やっぱり、コロナとかの影響ですか?

だから僕は、

やっぱり、コロナとかの影響ですか?

って訊いてみた。そしたらいったん、

私も、ぜんぶの事情を知ってるわけではないんですけど……

と前置きしたうえで、こんな話をしてくれたんだ。

確かに、それは大きいでしょうね……。もともと、介護って人手不足じゃないですか?そこに今回のコロナがあって、デイサービスとかいろんな施設が縮小とか一時閉鎖とかしてて。感染対策ですよね。でもそうすると、普段そこに預かってもらってたひとたちが、家にいることになるでしょう?だからってご家族も生活とか仕事とかで、急に面倒は看られないわけですよ。だから私たちみたいな在宅介護の需要が高まってるんですけど、こっちも限界があるんで。だから結構依頼を断わらなきゃいけないみたいで、社長とかも唸ってましたね。地図広げながら

これを聴いて、僕は改めて

そういうことなら、これはもうしょうがない

と思った。誰が悪いわけでも、いじわるなわけでもない。ただ、こうなった以上しょうがないんだ。そしてそのなかで、みんなそれぞれが悩みながら苦渋の決断をしなきゃいけないことがある。それが、今の現状なんだ。

そしたらあんた、もううちに帰ってくるかい?

そしてここまで現状を確認したうえで、僕は家族にも、電話で状況を報告しておくことにした。

これはまだなんにも決まってない話だからあれなんだけど、とりあえず今んとここんな話になってて……

今までの顛末をざらっと説明すると、母は

いやいや、それじゃああんた、5月からの生活がどうなるかもわかんないってことでしょ?

なんて案の定驚くものだから、

まぁ、でもまだ2か月あるし、相談室さんもさっそく動いてくれてるし、意外とすんなり解決するかもしれないから……

とは言った。でもやっぱり、そんな話じゃ簡単に納得はされない。それどころか、

そしたらあんた、もううちに帰ってくるかい?

なんて話にまで発展してしまったんだ。

そりゃあ物流が止まったら、帰るしかないかもしれないけど……

僕はもう10年以上、親元から離れて生活してきた。だけど今回のことは、母にはそんな選択肢まで浮かばせるものだった。

いやいや、そんな話じゃないって。今のところは、まだぜんぜんだいじょうぶだから

いやでもあんた、コロナだってどうなるかわかんないんだから。私たちだって、買い物は基本宅配にしてるんだよ。スーパーに集まるのも危ないかなって。それにそこにいたら家賃だってかかるしさ……

でもだからってここ引き払ったら、戻る場所なくなるもん。家具だってなんだってそろってるんだからさ、この部屋をなくすのはもったいないよ。それにせっかく家賃払うんだったら、ここにいたほうがいいって。今の今生活に困ってるわけじゃないんだし

まぁねぇ、そうやって実家に戻ろうとすることが感染を拡げるって話もあるからねぇ……でもあんた、なんかあったらもっといろいろ考えなきゃいけないんだから、のんきにしすぎないでよ

うん、だけどやっぱり通院とか薬とかも必要だから、ここのほうがいいと思うんだよね。そりゃあもちろん成り行きは見とかなきゃだし、さすがに物流が止まって食料が手に入らないなんてことになったら、帰るしかないかもだけど……

なんてそんな感じで、とりあえずの話は終わったんだ。

「自分が感染するか誰かに感染す」ことだけが、コロナ問題じゃない。問題はこうやって、いろんなところに波及していく

ただいずれにしても今回改めてはっきりしたことは、

「自分が感染するか誰かに感染す」ことだけが、コロナ問題じゃない

ってことだ。コロナが流行ったことでデイサービスや福祉事業が縮小したことが、回り回って僕の生活も直撃したように、問題はこうやって、副次的にドミノのように、いろんなところに波及していくんだ。

もちろん今盛んに言われている

「医療崩壊」

だってそうだ。コロナウイルスの患者さんが増えることが、がんや脳卒中の患者さんに無関係なわけがない。手術や人工透析なんかが必要なひとは言うまでもなく、そうやって病院の体制が、1箇所の疲弊が、ありとあらゆるひとたちに影響していくんだ。そもそも僕自身、高度な医療体制があって初めて、ギリギリでいのちを繋ぎ留めることができたんだから、それがなかったら、未熟児で簡単に死んでいただろう。

それにたとえば

新型コロナウイルス感染症の流行で「中絶手術」ができなくなってきている
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行している国や地域では、医療現場は逼迫(ひっぱく)し、医療システム自体がパンクする恐れが出ています。そのため、COVID-19感染者の治療を優先するために「不必要な治療」が後回しにされ始めており、アメリカのいくつかの州では「中絶手術」を不要な治療と見なす決定が下され、波紋...

のだってその一部だ。

ベッドが足りない!医療体制が追いつかない!

っていうのは、そういうことなんだ。

だから僕が前から感じていた

日本生きろ!だって日本が死ぬときに、真っ先に死ぬのは僕だから
昨日のに引き続き、またみんなの話題に乗っかってみようと思う。ってことで、「保育園落ちた日本死ね問題」について、まずは発端となった文章の全文を引用するところから始める。何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日...

っていうのは、やっぱり正しかったんだ。僕は今、改めてそう思っている。

ただいずれにしても、僕も僕なりになんとか生きていきます

そして僕ももう既に今までの経過観察の通院頻度を月2回から月1回に減らしたし、なにより今日4月5日現在、僕の5月以降のヘルパーさんの目処は、まだ立っていない。それに僕だって様々な持病を抱えているわけだし、そもそも肺活量とかも含めた「呼吸機能」が平均よりずっと弱い僕が、肺炎を起こすこのウイルスを甘く見ていいわけがない。

ただいずれにしても、なにがあろうとなかろうと、僕も僕なりになんとかできる限り生きていこうと思う。それにもちろん、今は日本中世界中のひとたちがそれぞれに大変な時期なんだってこともわかっている。だからさっきも言ったように、そのなかではときに苦渋の決断をしなくちゃいけないときもあるだろうと思う。そしてそんな決断をしたうえでなお、つらく哀しい現実を受け止めなきゃいけないこともあるだろうと思う。だからそれに対して軽々しく言えることなんてなにもない。だけどそれでもひと言だけ言うとしたら、

お互いに、がんばろうね。がんばりすぎず、がんばろうね

ってことは、心を込めて伝えておきたいと思う。そしてこれからもずっと、声を掛け合っていこう。助け合って、生きていこう。いつも本当に、ありがとうございます。

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