場面緘黙

草原に立つ女性詩・物語

語り得ぬものについては 沈黙しなければならない

とは前に言われたけれど

僕にはそんな「語り得ぬもの」が

どうにも多すぎる気がするんだ

 

他のひとならもっと的確に

難なく話せるはずのことですら

僕の胸から口をつく

その道中の喉元で詰まる

 

僕の名前はちゃんと言えるよ

住所も誕生日だって言える

好きな色だって言えるけど

言いたいことが 伝えられない

 

あなたはいろいろ話すけど 大切なことはなにも言わない

言わないんじゃなく言えないとしたら?

言いたい気持ちはあるんだとしたら?

そしたらどうすればいいと思う?って

言おうとしたらあなたの顔が

あまりに泣きそうだったから

やっぱり黙ってしまうんだ

 

「雨が降りそうだから 少し急いだほうがいいかも」

寒くない?って言うべきだったかな

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