春風は暖か和やかで
夏の星々は麗しい
秋の紅葉は色鮮やかで
冬の雪には涙が浮かぶ
これも素直な心だけどさ
でもね どれも元を辿れば
あなたがいるからなのは明らか
だからもし今この僕の傍に
あなたがいないとしたのなら
春風は僕を嗤うようだし
星々は仰々しい限り
秋の紅葉は枯れ落ちるだけで
冬の雪などただ煩わしい
だからね 勘違いしないで
僕は確かにしあわせがいい
無味乾燥より味わい深く
苦しいよりはもっと楽しく
侘しいよりは賑やかに
いたいと思っているのだけれど
ほんとのほんとのほんとはね
願いはすべて もう叶ってる
お金がもっとあったら嬉しい?
家がもっと広かったなら?
そこに観葉植物が
あなたのこどもがいたのなら?
もっともっとね しあわせでしょう?
それは確かにそうかもしれない
むしろそうだと思いもするよ
だけどそのすべて手に入っても
もし引き換えにこのひとのことを
喪うことになるのなら
そんなものは一切要らない
1秒迷わず送り返すさ
だから勘違いしないでほしい
僕のしあわせを願うなら
ここになにかを加えるよりも
むしろこれだけは盗られないよう
喪わないよう奪われないよう
きっちり護っていてくれたらいい
そこにどんな絵を書いたとしても
そもそも素地がないのなら
そこにどんな種蒔いたとしても
そもそも大地がないのなら
そこにどんなもの映したとしても
そもそも空がないのなら
そこにどんな魚がいても
そもそも水がないのなら……
だからね 僕のあらゆる願いは
ほんとはひとつに結びついてる
最も切なるひとつの願い
それは「あなたを喪いたくない」
否定形で願うのはねぇ
おすすめしないと誰が言っても
「あなたと一緒にいたい」
という言葉では この切実さ 伝わるだろうか?
僕はあなたを喪いたくない
喪いたくない
喪いたくない!
もしもそれすら叶わないなら
もはやすべてを全否定する
もしこのひとを人質にする
ならば世界を 質に入れよう
さっさと返せ 今すぐ返せ
すべてとすべてを交換しよう
さもなくば無に帰す世界
もはや誰にも止められないだろう
さぁどうしよう?さぁどうするよ?
あるいはこんな手もあるんだよ
あなたが僕らをどうしても
気に食わないなら 認めないなら
それなら さっさと世界から出せ
そしたら僕らはまた新しい
世界を創ろう 世界を創ろう
だってふたりならなんだって
生み出せるから 味わえるから
ねぇそうだよねぇ? そうだもんねぇ?
ふたりの願いに 対立はない
考えるのは 話し合うのは
楽しいけどね 嬉しいけどね
ふたりで世界を 味わいながら
お互い互い 味わいながら