大きくなっても、なれなくたって

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夕暮れの道でスケートボードに座り込む男の子

最初は前しかなかったから

いつも先だけを見てればよかった

でもそうやってときが経つほど

過去が遠くに離れて霞む

 

故郷に帰っていいのだろうか?

なにも得ていないこの僕が

なにも変わらないこの風体で

家に帰っていいんだろうか?

 

いいやこの道は帰れない

ふるさとは遠きにありて思ふもの

そして悲しくうたふもの

志を果たしてもない

故郷に飾る錦も持たない

こんな僕では……今の僕では……

 

大きくなって 帰っておいで

確かに私はそう言った

だけどねたとえそうなれなくてもね

いつでも帰って来ていいんだよ?

ここがあなたの故郷だから

あなたが生まれ 育った場所は

やはりいつでも ここだったから

それにね あなたは思ってるより

はるかに大きくなっているのよ?

 

そう そう言ってくれるなら

いずれそう遠くないうちに

あなたのもとに また帰りましょう

でもね ひとつ大切なこと

無視できない大事なことは

長らく住んで生きるうち

ここも「故郷」になったということ

だからね ほんとにいずれにしても

離れがたいは 確かだけれど

だけどね それなら僕はこうして

切った髪をこの地に置いて

僕の一部をここに遺して

僕の生まれたその場所を

目指してこの地を出発しよう

 

ゆっくり向かっているからね

また必ず帰ってくるね

これは故郷を増やす旅

そして想い出を増やす旅

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