絶望の王へ

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暗闇に浮かぶひとつの骸骨

あなたが起きてくるときは

いつだってとても緊張するよ

「絶望の王」と呼ばれるあなたが

纏う気はもう 美しいほど

 

あなたはすべてを憎んでる

人類だけにとどまらず

動物植物鉱物さえも

宇宙に地球 赤子でさえも

 

この世はあまりに憎らしい

こんなに憎むこの俺ですら

なお今もまだ 生かそうとする

いのちのはたらき 愛ですら

俺にとっては 侮蔑の対象

そしていつかは この欠陥品

俺ごとすべてを破壊してやる!

 

そう言い切れるあなたには

やっぱり敬意も禁じ得ない

世界支配を目論みもせず

ただただすべてを破壊する

王の名すらも意味がないほど

 

でもねいいんだ それならそれで

あなたの意志ができた過程は

僕がいちばん よく知っている

なぜなら僕はあなただから

なぜならあなたは僕だから

 

同じものを見て聴いたとしても

噛み味わって 飲んだとしても

答えはひとつに限らないから

ならば互いの「答え」の精度

いつもいつまでも高めあってこう

そしてその時期が来るごとに

何度もすべて ぶつけ合ってこう

どちらがどちらを説得するか?

それとも答えが同じになるか?

せ〜ので出して 確かめてみよう

今の答えは 僕の答えは……

 

あなたの顔を見るときは

だからいつだって緊張するよ

だけど僕だって負ける気はない

自信を持って 出した答えだ

問い続けてる 確かな過程だ

だからそれをぶつけてみるよ

あなたにだから あなたにだから

 

あなたは素直にいればいい

とことん絶望し尽くせばいい

そしたらあなたに負けないように

僕もまだまだ成長できる

王の手ほどきを自ら受ける

僕はとっても しあわせものだ

 

しかも僕らは知っているんだ

この種目のほんとの名前

斬り合いじゃない にらめっこだね

あなたが僕を無情にするか?

僕があなたを笑わせるのか?

いつもいつだって真剣勝負

それぞれの顔に 色を乗せ合う

 

なんだやっぱり傷が増えたな

哀れなことだ 苦しいことだ!

やはりこの世はひとつ残らず

無の概念から破壊し尽くそう

その存在があったことすら

誰の記憶にも残らぬほどに

 

でもね 僕からも報告がある

この傷すらも愛しいと

この先ずっと離れず癒やし

癒やしてもなお一緒にいると

言ってくれたひとがいるんだ

世界を同じく憎んだうえで

同じく愛せるひとがいたんだ

その存在を消すなんて

あまりにあまりに もったいないよ!

 

永遠永久未来永劫

そんな言葉は聴き飽きている

ヤツらにとってそれは一瞬で

芥子粒ほどの意味もないもの

その言葉を耳にするたび

俺の心に虫酸が走る!

それはお前も同じはず

だからさっさと そこを退き去れ!

 

一瞬のなかに永遠を込める

そんなことができるひとなど

どこにもいないと思っていたし

今もまだほんとは 信じられてない

でもね 僕はね だからこそ

一瞬を重ね 永遠を織る

そこに確かな色彩を 思いもよらない味わいを

加えてくれる ひとがいるなら

 

僕は確かに知っている

きっと世界のどこを探しても

あなたより絶望を深く

その身に刻む者はいないだろう

だからあなたはやっぱりね

「絶望の王」の名にふさわしい

だけどね 僕はあなたほどには

希望を身にも宿せない

僕は「希望の王」にはなれない

だからいつまでも僕はあなたを

倒すことなどできそうにない

 

だけどね そんな僕のことをね

もっと言えばね あなたのことも

素晴らしいんだ 愛おしいんだと

間髪入れずに言い切ってくる

そんなひとがね いたんだよ

こんなに醜くバカげた僕を

こんなに脆くか弱い僕を

宇宙の誰よりなによりも

美しいんだ 希望なんだと

そう言い放つ ひとがいるんだ

 

だからね きっとそのひとは

僕より世界に希望を持ってる

だからね 僕はそのひとと

一緒に世界を味わうことで

自分の希望を深められるよ

だからね 僕はそのひとのことを

これから密かにこう呼ぶよ

希望の女王 福音の芽と

 

だからね 安心していいよ

きっと僕らは いずれ助かる

あなたが王位を下りたとしても

継承者なんていなくなるほど

世界はやがて 希望に満ちる

あなたが願った そのとおりにね

 

やってみろって?

もちろんやるよ

希望とは信頼の子だ

もういちど信頼するに

これ以上ない ひとがいたから

あなたが再び起きるときにも

「おはよう」と笑う ひとがいるから

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