殺すにはもう遅すぎる

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森に射し込む光

あと少し生まれるのが早ければ

あとちょっと病院が遠ければ

あの日に雨が降っていたら

僕はここに生きてなかった

 

もう少しだけ絶望が

もう少しだけ無気力が

もう少しだけ諦めが

そこに深く根を張ってたら

僕はこの道を拓けなかった

 

確かにこれから先だって

いろんな哀しいことや

いろんな苦しいことがあると思うよ

だけど君が今さら僕を

どんなに強く否定したって

僕を殺すにはもう遅すぎる

 

だいたいそうしたいならなぜ

最初にもっと全力で

僕の意志を挫かなかった?

最初がいちばん弱かったのに

君の最大の好機だったのに

 

やっぱり油断は大敵だね

簡単なことほど難しく

難しいとわかっていれば簡単だ

あのとき君が僕のことを もう少しだけ気にかけてれば……

黙っていても今にも死ぬと そんな高を括らなければ……

君はもう機を逸したんだよ

今の僕を殺すのは かつての比じゃなく難しい

 

それにこれには理由があるよ

僕はもう独りじゃないからさ

支え合えるひとがいるから

 

だけど僕だけが助かったって

ほんとの意味で 僕は助からない

だから一緒に 助かりましょう?

僕を殺すのは もう遅すぎる

君を殺すのも もう遅すぎる

だって僕らはもう出会ってる

ここでこうして 話してるんだから

 

それでも僕を殺したいなら

あと少しだけ待てば済む

長くてたかが数十年

いずれにしても死は来るんだから

 

だけどそのときは明らかに

あのとき死ぬより笑ってられる

それは今まで生きてきたから

大切なものを見つけられたから

 

だからあなたが死ぬのもまだ早すぎる

そしてそのことを知ってしまえば

自分を殺すには もう遅すぎる

よかったね

ほんとによかった

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