目の見えないひとが列車に乗るときは、駅員さんが介助してくれるのが原則になる

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駅から走り去っていく列車

「公共交通機関」って言っても、それを障碍者が自由に利用できるまでにはいろんな紆余曲折があった。それに今でも、その試行錯誤は続いている真っ最中だ。そんななかで、こないだこんな動きがニュースになっていた。

視覚障害者が8、10月に駅ホームから転落死する事故が相次いだことを受け、国土交通省は全国の鉄道会社に対し、原則として視覚障害者の乗車を駅員が介助するように求める方針を固めた。従来は各社の裁量に任されていたが、駅員が介助を申し出るよう徹底を図ることで、ソフト面での安全対策を進める。

「声をかける」(見守る)っていうのを大原則にしたうえで、本人の意志は尊重する

今までも、目の見えないひとが列車に乗ろうとするときに起きる事故はけっこう起きていて、だからこそ「ホームドア」(事故防止のために駅のホームに設置する柵)を導入するような動きも着々と進められている。そしてそれは、日々改良されてもいる。

1.ホームドアとは  2014年(平成26年)に日本盲人福祉委員会が発行した『日本の視覚障害者』には、ホームドアを、次のように説明しています。  「ホームからの転落や列車との接触事故防止等の安全対策として、プラットホームを壁面で囲い、ドアを取りつけて、列車の乗降に合わせて開閉させるもの。ホーム構造や列車車両編成の違

だけどそれでも、まだまだすべての駅に設置されているわけではないし、そこには当然お金の問題なんかも絡んでくるから、一気呵成には進まない。でもだからって、ほんの少しの手助け・目配りがあれば避けられた事故が起きるのを止められないのは哀しすぎる。そこで国土交通省が出した答えが、今回の方針なんだと思う。

僕は、今回の方針には基本的に大賛成だ。それは特に、

これまでは、駅を利用する視覚障害者を見かけた場合、駅員が必要に応じて声をかけ、介助を提案するという鉄道会社が多かったが、どんな場合に声をかけるのかを定めた統一の指針はなく、実際に介助するかも現場の判断に委ねられていた。声をかけてもらった経験がなく、駅員が介助してくれることを知らない視覚障害者もいるとみられる。

っていう現状認識に立って、それを反省したうえで、

視覚障害者を驚かせたりすることがないように、どのような声かけをするかを含めて共通の指針を作成し、各社の規則に明記してもらう考えだ。

っていう配慮をして、さらにそれが「押し付け」にならないように、

駅の利用に慣れていて介助を必要としない視覚障害者については、本人の意思を尊重し見守る程度にとどめる。

ってことまで考えられてるんだったら、とりあえず基本方針としては言うことないくらいに近いんじゃないかと思う。あとはこの指針作りに、目の見えないひとたち自身の声を積極的に採り入れればいいと思うことくらいだ。だけどそのくらいは、きっとやってくれると思う。

そしてなにより、僕はこの方針の根底に、「声をかける」(見守る)っていうのを大原則にしたうえで、本人の意志は尊重するっていう気持ちが流れているように感じて、そこにとても共感するから、嬉しく思うんだ。

ほんとは、こんな方針がなくて済むのがいちばんいいとは思う。でもまず初めの1歩としては、これはとても大きいと思う

ただ、これを別の視点から見ると、

ほんとは、なにも「方針」なんかなくても、自然と助け合えるのがいちばんいいんじゃない?それに、みんなが当たり前に助け合えるようになれば、わざわざ「駅員さんの役割」って決めなきゃいけないこともなくなるよね?

っていうような見かたもできると思う。それにこれは、駅員さんの仕事を増やすことになって、その意味ではそのひとたちの負担を増やすことだとも言えるかもしれない。だけど今回の方針はそこも配慮したうえで、

人手が足りない場合は、駅員の業務に区切りがついて対応できるようになるまで視覚障害者に待機してもらうことも検討する。

って書いてあるし、僕もそれは必要なことだと思う。そしてそういう全体像を踏まえたうえで、今回の方針が打ち出されたことはすぐに「理想」を実現することではなくても、少しずつでも「いい方向に向かう」っていう初めの1歩としては、とても大きなものだと思うんだ。

少しでも気楽に外に出られれば、そしてその環境が受け入れられていけば、もっと状況は好くなっていく

このことで目の見えないひとたちが少しでも気楽に外に出られるようになればいいと思う。そのことで周りのひとたちも目の見えないひとをたくさん見かけるようになればいいと思う。そしてその環境が「自然なこと」として受け入れられるようになればなるほど、いずれは駅員さんだけじゃなく、周りのひとたちもお互いを自然に助け合えるようになればいいと思う。それが、僕の願いだ。

僕の生活のなかでは、誰かに頼んでやってもらわないといけないことがたくさんある。でもそれがいつも気心の知れたひとたちとの間だけで済むとは限らな...

そして僕も、公共交通機関に乗ることがある。その(車いす乗りとしての)経験から言うと、列車や地下鉄なんかは、かなり対応がいいほうだと思う。タクシーも、まぁいいほうだ。ただバスとか市電とかになってくると、まだまだ利用が難しいことが多い(一部導入されている「ノンステップバス」とかだと話は別だ)。だからまだまだ改善してほしい部分はたくさんあるけど、少しずつでも状況は好くなってると思う。今回のニュースは、そのひとつの具体例だ。だから僕は、これからも未来を楽しみに、生きてみたいと思う。

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