昔から、
タダより高いものはない
なんて言い回しもあるけど、やっぱり「無料」っていう言葉には強い魅力がある。今はたいして欲しくないはずのものでも、
無料でお持ち帰りください!
なんて言われると、ついついもらっちゃったりとかね。ポケットティッシュでも、なんでもそうだ。じゃあ、その「究極形」を突き詰めてみると、そこにはひとの心の、どんな姿が見えてくるだろう?そのひとつの答えは、こんな社会実験のなかにあるかもしれない。
「必要なぶん、取ってください」。そう言ってむき出しのお金を差し出されたら、あなたならどうする?
その社会実験っていうのがこの
Money Suit Social Experiment!
(お金スーツで社会実験!)
だ。
この動画は3分くらいにまとめられた見やすいものだし、英語がわからなくても概要は掴みやすいと思う。
Take what you need
(必要なぶん取ってください)
と書かれた板を持ちながら、お札が貼られたスーツを歩いてみたらどうなるか?
これが彼(Coby Persinさん)の実験だ。すると、さっそく彼のお金を取りに来た男のひとがいる。だけどそのひとは、ほんとにお金を必要としてるようには見えない。だからそれを訊いてみると、彼はこう言った。
I don’t need it, but It’s free.
Who wouldn’t take it?
(「必要」ではないよ。でも無料だろ。
もらわないひとがどこにいる?)
そう言い切られたら、それは確かにもっともだ。だからコビーさんも彼をそれ以上止めることはなかった。
「あとは他の誰かにあげてくれよ」。そう言ったひとは、お金持ちではなかった
そんななか、彼にある男性が声をかけてきた。彼は路上生活者みたいだ。そしてやっぱり彼も、コビーさんのお金を必要としてた。だけどその額は、今までのひとたちよりずっと少なかった。明らかに、彼のほうが「必要」としてるように見えるのに。だけどその意志を確認するコビーさんに向かって、彼はこう言うんだ。
Just give it to other people
(あとは他の誰かにあげてくれよ)
それに感銘を受けたコビーさんは、彼と笑顔で握手を交わす。これで、実験は終わる。そして最後に伝えられるのは、
You have succeeded in life
when all you really want is only what you really need.
(あなたは人生の成功者だ。
もしあなたが欲しいものが、あなたがほんとに必要としてるものだけになったなら)
っていうメッセージだった。
資本主義者としては、彼以外のひとのほうが明らかに正しい。でも彼の笑顔は、確かに力が宿っていた
ただ、この社会は資本主義だ。そしてそれは、今や社会のほぼ全域を覆い尽くしている。だからみんな、そのなかで生きている。そしてそんな「資本主義者」としては
無料だろ。もらわないひとがどこにいる?
って言っていたひとたちのほうが明らかに正しい。
だけどそれでも、そんな「無力」な彼の笑顔には、彼以外のひととはまた違う種類の、だけど確かな「力」が宿っていた。だからきっと、彼はしあわせなんだと思う。僕はそう思った。
だから僕はあなたにも、彼のその「力」を、ぜひよく見てみてほしいと思う。そしてそれぞれが、それぞれにしあわせになれたらいいと思う。そしてもちろん僕も、そうなりたいと思う。
コメントをどうぞ
世界中の人たちが、それぞれにしあわせになっていいはずなのに。
ペイフォワードのトレヴァーの純粋なアイデアが
なぜか、現実の世界では、うまく機能しない。
スタートレックのホロデッキの中だけしか
しあわせを感じ続けることはできないのかも。
シャボン玉のように、触れると弾けて消えてしまうのかな。
さなぎさん、こんにちは。
確かに僕にとっても、しあわせをしっかり感じて味わい続けるのは、とても難しいです。
でももししあわせがシャボン玉のようなものなら、僕はできるだけ静かに包み込んで、割れたらまた、吹いてみたいと思います。