僕は医学的には「先天性脳性麻痺の患者」だということになるんだけど、その確率はだいたい1000人に1〜2人の割合だと言われているらしい。これは、
早産(未熟児)の場合は10倍くらいに確率が上がります
なんて言われているんだけど、そもそもその早産になる確率がどのくらいなのかとか、他の環境要因はどの程度影響してるのかなんてことを言い出すとキリがないから、とりあえず1000人に2人だと考えておけばいいと思う。
つまりこれは、だいたい500人に1人の割合だってことだ。
じゃあ、パーキンソン病は?
で、そんな僕の父が、こないだパーキンソン病の診断を受けた。

このパーキンソン病の原因はまだ解明されてないんだけど、一般的には1000人に1人くらいの割合で発症するとされているらしい。ただこの病気は高齢になればなるほど発症確率が上がって、特に60代を超えると10倍、つまり100人に1人くらいの確率で発症する可能性があると見なされているらしい。じゃあうちの父は60代になっていたから、その100人に1人に当てはまったってことになる。
脳性麻痺のこどもがいる家庭の父が、パーキンソン病になる確率は?
じゃあ今度はこれを組み合わせて考えてみる。つまり
「脳性麻痺のこどもがいる家庭の父が、パーキンソン病になる確率は?」って考えてみると、その確率は500×100/1=5万分の1だ
っていうことになる。
これをどう捉えるかはなかなかいろんな見かたがあると思うけど、今の僕が率直に思ったのは、
あ、意外と多いんだなぁ……
ってことだった。
表立っては見えにくいだけで、友達や知り合いも含めたらもっと関係者は多くなる
僕は今まで、同じような脳性麻痺同士の友達や知り合いのなかでも、父親(母親・家族……)がパーキンソン病だというひとには出会ったことがなかった。でもこうして5万人に1人という数字を見てみると、それは意外に多いっていう印象を受けた。それにこれが自分の家族じゃない、たとえば友達や知り合いにまで範囲を拡げると、そこに当てはまる広い意味での「関係者」はもっと多くなると思う。
確かに、これは哀しいことでもある。だけどその「意味」は、自分たちが決める
最初僕が父のパーキンソン病のことを知らされたとき、直感的に思ったのは、
これでまた、いろんなことを言ってくるひとたちが出てくるだろうなぁ……
ってことだった。「いろんなこと」っていうのは、こういうことだ。

僕1人がこのからだで生まれただけでもいろいろあったんだから、そこに父のことが加われば、またさらにいろんなことを言ってくるひとは出てくるだろう。もちろんそこにある「意図」は様々だろうし、強弱もいろいろだとも思う。でもたとえば、
せっかくこれからというときに、不幸がやってきますよねぇ……
くらいの言葉は、そんなに悪気がないとしても、ぽつりぽつりと言われることになると思う。だからまだ、父は自分の身に起きたことをそれこそ極々限られたひとにしか伝えてないし、僕もここが実名の場だったら、まだ書いてなかったかもしれないと思う。
これが今の僕の、これからもずっと変えるつもりのない、基本姿勢だ。
そして僕は「世界でただ1人」の僕の気持ちを、ちゃんと伝え続ける
それにいつも思ってることだけど、たとえ僕とあなたの間にどんな共通点があろうがなかろうが、僕とあなたはそれぞれ「世界でただひとりの存在」であることは確かだ。そしてそれぞれの人生はその本人しか生きられないし、その体験の総体は、そのひとしか味わえないものだ。

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