『Fit to Fat to Fit』。同じく太って一緒に痩せるという番組から、寄り添うことのひとつの究極形を見た

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Fit to Fat to Fit
http://fatburningman.com/drew-manning-why-he-gained-and-lost-75-pounds-feeding-your-kids-intermittent-fasting/

現代ではダイエットが巨大な産業になってるのは間違いないと思う。それはたとえばフィットネス機器だったり、ダイエットサプリだったり、他にもちょっと

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なんて調べてみただけで山のようにいろんな情報を見つけることができる。そのなかには独力で実践できるものもいっぱいあるんだけど、それだけじゃ意志を保ち続けられなかったり、うまく行くのか不安になっちゃったりすることもあって、誰か指導してくれる「トレーナー」さんと一緒にやるひともけっこういるんだと思う。

『Fit to Fat to Fit』。「同じく太って一緒に痩せる」という方法を編み出した、異色のダイエット番組

でも「誰かの指導・協力のなかで痩せていく」っていっても、そのこと自体はいろんなやりかたでいろんなひとたちがやっていることなんだから、特に目新たしいとは言えない。そしてそのほとんどは、

自分ではどうしようもないほど太っているひとを、痩せたトレーナーがいかに効果的な方法で痩せさせるか

っていうところがポイントだと言えると思う。だけどそんな当たり前のように持っていた先入観を覆す番組があった。それがこの、『Fit to Fat to Fit』だ。

A groundbreaking new series that follows personal fitness trainers from across the country as they undertake the most extreme weight-loss experiment ever: by fo...

この番組は外国で作られてるから言葉も英語だけど、ひと言にまとめちゃうと、

トレーナーがまず同じくらいに太ってから、相手と一緒に痩せる

っていうところに大きな特色があると思う。だからこの番組は、

相手がいかに痩せるかを見せる前に、トレーナーがいかに太るかを見せる

っていう、異色の構成になっている。この特徴は、このダイジェスト動画からもわかると思う。

相手に徹底的に寄り添って、一緒に変わるという姿勢

ここでトレーナーたちがわざと食べまくってまでいったん太るのは、相手に徹底的に寄り添うためだと思っていいだろう。太れば動きも悪くなるし、息も切れやすくなる。そういうひとたちの身を「想像する」ところに留まらず、「体験する」っていうところまでやろうとする姿勢は、ほんとにすごいと思う。もちろんトレーナーは痩せることに関してはプロなわけだから、それでも完全に同じ条件ではないということもできるだろう。でも考えてみれば、

太ってるひとが一気に痩せるのが難しいのと同じくらい、痩せてるひとが一気に太るのだって難しいはずだ。

それは実際、こんな記事を読んでみてもわかる。

Personal trainers pride themselves on being in peak physical condition. But a new reality show is asking svelte fitness coaches to intentionally increase their ...

このタイトルになってるように、あるトレーナーは体重が増えたことでボーイフレンドを失ったらしい。それに他にも、

One trainer’s weight gain was stopped for medical reasons, while another voluntarily quit because of the emotional strain.

って書いてあるように、あるトレーナーは太るのを医者に止められてしまったり、また別のトレーナーは精神的ストレスに耐えかねて太ることを断念した。それは一気に体重を40%も増やすことの大変さから考えたら当然起こり得ることだと思う。それにトレーナーは、

痩せてる状態から苦労して太ったうえに、その太った状態からもういちど痩せる

っていうんだから、単純に言えば相手の2倍の困難を乗り越えなきゃいけないってことになる。そしてそれもこれも、結局は

太ってる(太ってしまった)ひとの想いを知ったうえで、一緒に変わるため

だ。ここまでの心意気を先に見せてくれるからこそ、この番組はたくさんの応募者を集めることができるし、実際にダイエットに成功させられているんだと思う。

こんなことは簡単に真似できないし、しなくてもいいと思うけど、ひとつの「究極形」だとも思う

もちろん、このトレーナーたちはプロだし、番組から出演料だってもらっているはずだ。だから彼らのやっていることは仕事だと言えばそのとおりだ。だけどだからといって、こんなことは簡単に真似できるものじゃないと思う。

それに、たとえば僕が歩けないからといって、誰かが

あなたの気持ちを理解するために、1か月間歩かずに生活します!

なんて言われたら、僕は絶対に止める。そんなことをする必要はない。「ミイラ取りがミイラになる」なんて言い回しもあるけど、

僕が望んでるのはそんなふうに「被害者」が増えることじゃない。あなたが助けてくれることだ。

だから、そんなことは別にしてほしいとは思わない。それに前から、

「車いす体験」とか「アイマスク体験」みたいなことが、学校の授業とか企業の研修なんかで行われることがある。いわゆる「障碍者体験」だ。そして僕も...

って言ってるように、僕の状態を誰かがほんとの意味で「体験する」なんてことはできっこない。

だって僕の状態になるってことは、わかりやすく言えば急に転んでしまって、顔面を強打するとしても、どうしようもないってことだ。でもあなたがそんな状況になったら、反射的にでも受け身を取っちゃうもんね?

だから少なくとも僕の場合は、「一緒に太って一緒に痩せる」みたいなものとはまったく違う。僕にそんな「わかりやすいゴール」はない。だから、そんなことはしなくてもいいんだ。

だけど、もしそれでもなお、

たとえ完全じゃなくても、期間限定であったとしても、少しだけでもあなたの気持ちを理解するために、やっぱり1か月間歩かずに生活します!

なんて言うひとが現れたら、僕は確実に胸を打たれると思う。そしてもしそんなことをやり遂げられたら、僕はきっと泣いてしまうと思う。僕はそんなひとが現れてほしいとも思ってないし、現れるなんてあり得ないと思っているけど、だ。

だからそういうふうに考えると、この『Fit to Fat to Fit』が見せていることは、ひとつの「究極形」とも呼べるものなんだと思う。

僕にはあなたのすべてをわかることなんてできない。でも精いっぱい「わかりたい」とは思い続ける

あなたがこの文章を読んでいるなら、少なくともあなたは人間で、日本語を理解する能力を持っているということだ。そしてもしここで僕の書いていることに共感してくれるなら、その共通点はもっと多いっていうことだ。それにそのなかには、僕と同じ脳性麻痺のひともいるかもしれない。でも、たとえどんなに共通点が多かったとしても、僕とあなたは違う存在だ。だから僕はあなたが僕のすべてをわかってくれるなんてことは期待していない。同じように、僕にはあなたのすべてをわかることなんてできない。そんなことは当たり前だ。

でも、それでも僕は精いっぱい「あなたのことをわかりたい」とは思い続ける。そして、「自分のことを伝えたい」とも思う。そしてその過程で、「自分のことをわかりたい」とも思う。

それがどこまでできるかはわからない。それに、この道に終わりなんてものはないだろう。だけど僕はできるだけ続けてみようと思う。いつも言っているように、行けるところまで行ってみたいと思う。ただたとえどんなに頼まれたとしても、僕はあなたと一緒に太ることはできない。だって、わざわざからだを壊すわけにはいかないもん。

僕のからだがいちばん安定するのは、仰向けで寝転がっているときだ。うつぶせだと、少し胸が苦しい。けどそこから四つ這いの姿勢になると、とたんに頭...

僕はあなたと一緒に、まだまだ生きていたいからね。

最後まで書いて、こんな言葉を思い出しました。

やってみせ 言って聞かせて させてみせ ほめてやらねば 人は動かじ

話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず

やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず

(山本五十六)

僕も自分なりに、考え続けたいと思います。

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