脳性麻痺の「二次障碍」に、改めて真剣に向き合ってみる

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枝の上のシャボン玉

二次障碍っていう概念がある。これは主に医学的な意味合いで遣われることが多い言葉なんだけど、僕の今の理解でざっくり言うと、

ある障碍をずっと抱えたまま生きることによって蓄積された疲れや歪み(無理)が、また別の障碍を生み出すこと

だと捉えている。じゃあ僕が生まれてから20年以上ずっと付き合っている脳性麻痺にも二次障碍というのはあるんだろうか?もちろんある。それはもちろん今までも多くのひとに聴かされてきたし、自分でも向き合ってきたことではあるんだけど、今回はそれに改めてもう1度、真剣に向き合ってみようと思う。

なかなか「決定版」がないから、とりあえずいろいろな情報を見てみる

ただ、この「二次障碍」っていう概念・認識自体が比較的新しいこともあって、こういうものがあるということ自体を障碍者自身が知らないことも多いみたいだ。

それに今ネットで

二次障害とは
検索

なんて調べてみても、なかなか

これが決定版だ!

みたいな情報は出てこない。だからまずはそういう現状も含めて、とりあえずいろいろな情報を見てみようと思う。

まずは、こんな記述を見つけた。

二次障害とは、成人障害者、とくに脳性マヒの人に見られる既存の障害(一次障害)の増悪や、あらたに出現した障害のことで、しばしば動作能力の低下をともないます。たとえば、手足のしびれ、頸の痛み、よくこける、ものを落とす、排尿の変化、肩のこり、腰痛、関節痛などの身体症状のほか、イライラする、ものを忘れるなど精神疲労の訴えもあり、症状は幅広くさまざまです。

二次障害の原因となる二次的疾患にはさまざまありますが、頸や肩、腕の痛みの場合には、頚椎症、頸肩腕障害などの疾患が疑われます。そのほか、脊柱側わん症と胸郭変形、変形性股関節症、関節拘縮、ポストポリオ症候群などもよくみられる疾患です。30歳前後から始まる人が多いのですが、早い人では20歳代から症状が現れる場合もあります。

さまざまな症状や動作能力の低下は、軽度の障害のある人よりも中度以上の障害をもつ人に、また年齢が高くなるほど多くみられる傾向があります。しかし、就労している人の場合には、その職種や労働条件のちがいによって症状のでかたが異なります。

ここには特に脳性麻痺のひとによく見られる二次障碍として、いろいろな身体症状の他に、精神疲労も挙げられている。そして30歳前後、あるいは20代くらいから、既に気をつけなければいけないと書いてある。じゃあ、他のも見てみる。次はこれだ。

突然ですが、「脳性麻痺の二次障害」という言葉をご存じですか?

『脳性麻痺の二次障害とは、脳性麻痺・ポリオなどの肢体障害者の人たちが30歳前後、早い人で20歳の頃から、“首・肩の痛み”、“手足の痺れ”、“つれ”、“冷感”、“重み”などの症状に襲われ、健康被害・身体機能の低下をもたらすことである』(仏教大学 植田先生『二次障害ハンドブック』P102“二次障害とは何か”より引用)

『脳性麻痺と診断されたときに合併した症状を、一次障害または合併症と言い、知的障害、構音障害、てんかんなどがあります。二次障害とは後になって現れる症状で、関節変形、脱臼、側彎、頚髄症、精神心理障害などがあります』(『成人脳性麻痺ライフ・ノート』P10“二次障害とは何?”より抜粋)

脳性麻痺は発達上の障害なので、動き始めた時から・歩き始めた時から、どんなに健常児に近づこうとしても、健常児の動きとは違うわけです。出生後からの何十年分もの間違った動きによって負担が身体に掛かってしまい、早くから身体機能が消耗してゆくと考えられるのです。

健常者でもある年齢に達すると、そこから徐々に身体機能が低下してゆくことはあると思います。脳性麻痺者の場合、いくらかその発現が早いといった感じでしょうか。

突然ですが、「脳性麻痺の二次障害」という言葉をご存じですか?『脳性麻痺の二次障害とは、脳性麻痺・ポリオなどの肢体障害者の人たちが30歳前後、早い人で20歳...

これを見ると、やっぱり何十年もの間からだに無理をかけ続けることは、どうしてもいろんな歪みを生んでしまうってことがわかる。そしてそれを実際の脳性麻痺のひとの視点から書いてくれた文章もある。それがこれだ。

脳性麻痺の「二次障害」とは、簡単に言うと、だんだんと体が動かしにくくなったり、様々な症状が出でくるといくことです。

具体的には、一つは、脳性麻痺の患者が、幼いころからの姿勢異常や、筋肉等、体に負担や無理がかかっていたために成人期に入ってから、または20歳前後になって発症するもので、「二次障害」と言っても、様々なものがありますが、一部をとりあげると、腰痛症・頸椎症・脊柱側弯症,胸郭変形・変形性股関節症・関節拘縮などがあります。

もう一つは、障害のない方に比べて、早めの老化により、筋力の低下や、変形など、状態が変化してくることです。  人は皆、歳をとるにつれ、体が衰えてきます。 それと同じで、脳性麻痺の場合は、20歳~30歳ぐらいから、機能が低下、悪化していくというものです。

「二次障害」を極端に言うと、以前は歩けたのに、歩けなくなってきた・・・ということもあるということです。(もちろん個人差はあります。)

体に負担をかけてきたため起こるのと、使わなすぎて起こってしまうなどの様々な要因はあるかもしれませんが、「二次障害」は、脳性麻痺の患者にとって、避けられないものです。 今、この「二次障害を防ぐ」ことは難しいようです。 

だからこそ、脳性麻痺の患者さんは、いつかこの「二次障害」と向き合わなけれなばならないのです。

脳性麻痺は進行はしません。 しかし、「二次障害」により、状態が少しずつ変化していったりと悪化はしていきます。

悪化していくのに、進行と何が違うのだ!と思うかもしれませんが、よく私にはわかりませんが、

脳性まひ自体は進行しないのに対し、それに伴って出でくる、二次障害に関しては、悪化するので、状態だけみたら、進行になるのかもしれません。。。

いつかはこの「二次障害」に関して、取り上げなければならない、多くの人に知ってほしい事柄、そして悩まされ、向き合っている脳性麻痺の患者さんがいるということを伝え…

そしてこのあと書かれているいろんな症状っていうのは、確かに僕自身も実際に感じているものだ。だからやっぱり僕にとってもこの問題は、切実に向き合わなきゃいけないものなんだ。

「手術する」という選択は、どの程度効果的なの?

じゃあその避けられない二次障碍に対して、結局どういう対処法があるんだろう?そう思って見てみると、やっぱり予想通りそれは「手術」ということになるみたいだ。

脳性小児マヒの障害を得て生まれると、成人以降、たいてい二次障害を発症する。これは生まれた時点から頸骨に異常な負担をかける障害であるためだ。時期に関してはすごく個人差があり、特定は難しいが四十代から五十代でなるものが多い。そのむかしは寿命も短く、二次障害が発症する前に亡くなっていたが、高齢化の波は障害者にまで及んでいる。

(中略)

例えば、うがいや薬を服用するとき、首を仰向けるとカラダ全体にシビレが走る。これが最初の自覚症状で、この頃から異常な肩こりなども感じるようになる。そして、これらを放置しておくとだんだん歩きにくくなったり、手に力が入らなくなる。

しかし、体に激しい変調をきたす前には、必ず首に激しい負担をしいる出来事(例えば、転んで、思いっきりアゴを打つなど)が起きる。それからは時間経過と共に体は動かなくなり、シビレや痛みは燃えるように激しくなる。

例えば、転んで、体がなんだかおかしいな、と感じているときに適切な手術を受ければ、もとの障害程度に戻ることが多い。

全身に障害のある人の場合は、週1回程度、定期的にリハビリテーションを受けることが有効だと思われる。現在、わが国においても「障害を持つ市民としてより楽に生活するために、無駄な緊張を取る」ことを目的としたボイタ法やボバース法等が実践されている。その結果、少しずつではあるが、確実に障害のある人に対する二次障害の治療における成果が上がり始めている。これらの治療を受けることによって、普段、自分では動かせない筋肉を理学療法士に動かしてもらい、身体のバランスを調整することが大切である。さらに、鍼灸や指圧、気功等の治療を受けることも有効だと思われる。

もしも、二次障害になったら、適切な治療を受けることが必要になる。ここで言う治療とは、外科手術のことを指す。もちろん、外科手術とは言っても、以前はやったような、障害の除去や軽減を目的として足の腱を切断するといった手術のことを言うのではない。障害をもった市民として、当たり前に生活を営むことを目的とした外科手術のことである。現在、悲しいことに脳性マヒ者等の二次障害に対して、適切な診断を下せる医療機関はあまり多く存在してはいない。横浜南共済病院は、20年程前から脳性マヒ者等に対して独自の手術を施し、変形性頸椎症や股関節変形症の治療を行ってきた。すでに100症例以上の手術経験があり、ほとんど失敗例がないのである。

そして実際、手術を受けるひともたくさんいる。そしてそれは、生きようとする強い意志に基づくものでもある。

私たちは時には頑張り、時には挫折を感じながら生きてきました。しかし、四十歳も過ぎるとその頑張りが、 アダとなり、療護施設入居者がある日突然死んでしまう、いわゆる突然死が諾先輩方を襲ったことも少なくはありません。 医師も頸椎の一番と二番辺りの神経が圧迫され、呼吸中枢に異常をきたして亡くなってしまったと言っていました。 一般的に全身性障害者及び中途障害者(脳陛マヒ者を含まない頸髄損傷者や脳血管障害者など)の医療的なケアは確立され、 どこの病院に行っても、それほど変わりがない治療が行われています。ところが、脳性マヒ者だけが、 歳をとればとるほど医療から離れていってしまうのが現状です。私が手術をしてみて思ったことは、完全にはよくはなりませんが、 進行は抑えられたということです。

でもそのすぐあとには、こんなことも書いてある。

しかし、手術をしても先天的な緊張が、なくなるわけではなく、エネルギー代謝も激しいため、 加齢も速く、そして、手術・治療をした部分の、前後の骨が、再び圧迫され、10年スパン位でまた、二次障害が表れます。 ただ一つ言えることは脳性マヒにとって、書くという事、話すという事、自分で食べるという行為、つまり生きて行く事そのものが、 ハードな事なのです。

だからこれを素直に受け取るなら、

手術は根本的な解決じゃなく、とりあえず10年くらい問題を先延ばしするくらいの効果しかない

ってことなんだと思う。そしてもちろん、手術はそれ自体がからだに強い負担を強いるものだ。それにもちろん、精神的にも苦しくないわけはない。それは僕自身が今まで2度の手術を経験しているからよくわかる。そしてもうひとつ避けて通れないのは、金銭的な負担だ。今までの手術は僕がちいさいときにしたことだから詳しくはわからないし、家族も深く教えてはくれない。でもたとえ「高額療養費制度」を活用したとしても、その金銭的負担は決して軽いものじゃない。だから僕は今のところ、手術に積極的な期待を寄せてはいないんだ。

社会の在りかたによって、二次障碍は増やすことも減らすこともできる

それにもちろん、二次障碍は脳性麻痺に限ったことでもない。それにこういう「医学モデル」に基づいたものだけが、二次障害の定義でもない。たとえば発達障碍の二次障碍について書かれたページには、こんな説明がされている。

子どもが抱えている困難さを周囲が理解して対応しきれていないために、本来抱えている困難さとは別の二次的な情緒や行動の問題が出てしまうものを、二次障害といいます。それは、心理的な要因から起こるもの、身体的にも影響を及ぼすものなどさまざまです。

ここでは明確に、「周囲の理解」が障碍を左右することが書かれている。それに、僕も含めた身体障碍者が、うつ病とかの「精神病」に罹ることはけっこう多い。僕の友達にもいるし、診断を受けていないだけのひとも含めたら、もっといると思う。じゃあここで考えてみてほしい。

うつ病は、脳性麻痺の二次障碍だろうか?

今まで見てきたように、

脳性麻痺のひとはどうしてもからだに無理をかけ続けることになるから、肩とか腰とか頚椎なんかを傷めやすい。だからこれは脳性麻痺の二次障碍である。そしてこれは、残念ながら根本的には避けられない

っていうのはわかる。でも、

脳性麻痺のひとは社会的弱者だから、どうしても哀しみや苦しみを受けやすい。だからその結果うつ病になるのが多いとしても不思議ではない。だからこれは脳性麻痺の二次障碍である。そしてこれは、残念ながら根本的には避けられない。

って言える?違うよね。

社会から受ける苦しみは、社会が変われば受けなくて済むんだよね?だからそれは本来、「避けられる二次障碍」なんだよね!

だから僕は、社会を変えたいと思っているんだ。それは僕だって二次障碍は怖いからだ。そして実際に、二次障碍を実感しているからだ。でも、避けられないものはしかたがない。それにどうせ、みんないずれは死ぬんだし、さっき引用した文章にも書いてあったように、昔なら障碍者はもっと早く死んでいたし、今だってからだに無理をかけ続けざるを得ない事実がある以上、長生きできないのはしかたがないと思っている。

でも、社会から受ける二次障碍は、避けられる二次障碍だ。そしてそれは、このまま放っておけば、自分だけじゃなく未来のひとたちにも影響し続けるものだ。それに今社会から「障碍者」って認定を受けているかどうかにかかわらず、

「周りから理解がないと苦しい」っていうのは、みんな同じことだよね?

だから僕は、それをどうにかしたいと思ってるんだ。そしてそのためにも、まずは現状を真摯に見つめようと思ってる。それにもちろん医学的見地も全否定することなく、

基本的に脳性マヒ者は息をはく時、緊張する人が多く全部はききれず、肺の1/3程度しか使っていないそうです。 したがって、はけなければ、生理的に吸えない事になります。そのため、酸素供給量が一般の健常者と比べて少なくなります。 最近その事がわかるようになりました。例えば計算的には一般の労働時間が8時間だとすれば、 その3倍のエネルギーを消耗していることになると私の主治医のドクターが言っていました。つまりそれが原因で、 長年の生活動作によって、中高年になると、首や腰の骨の変形からくる神経圧迫が二次的な障害を作り出す結果となってきています。 若いうちからトータルな人生設計を考えて行く事が大事だと思われます。

っていうような言葉も、大切に受け止めようと思ってる。だからお互い、あんまり無理はしないようにしようね。まだまだ長く一緒に、生きていきたいからさ。

このあとに感じたことは、続けてここにも書きました。

昨日、自分が既に経験している、そしてこれから経験することにもなるだろう「二次障碍」についていろいろな情報を集めながら改めて向き合ってみた。 ...

コメント

  1. 下ちゃん より:

    こんにちは、下ちゃんです。

    私が2次障害について知ったのは37歳の時です。

    私自身、出産時に脳性小児麻痺となりましたが、なんとか通常の生活を送っておりました。

    それが会社勤務をしてた37歳で左手のしびれが続き、病院へ行くと脳性麻痺の2次障害である頚椎症性脊髄症と診断されました。

    その半年後に手術を受けたのですが、やはりその手術は進行を遅らせるためのものであって、治すものではないと告げられました。

    現在は、外出時は電動車イスを使用し、仕事も1日4時間の在宅勤務という、体への負担を抑える生活を送っております。

    障害者にとって暮らしやすい社会って何だろう。

    これからも模索していきます。

    • 下ちゃん、こんにちは。

      こういう場合「下ちゃんさん」と呼ぶのも「下さん」というのもどうもしっくり来ないので、下ちゃんと呼ばせていただきますね。

      やはり、頚椎が特に要なんですね。僕もできる限りはいたわりながら、いろいろ模索してみたいと思います。

      それに暑さなどいろんな大変さもあると思いますが、下ちゃんもからだを大切に、少しでも穏やかに過ごされることを願っています。

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