「曜変天目茶碗」、それに失われたたくさんの技術を知って感じたこと

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風格を纏う男性

僕はほとんど夜更かしをしないんだけど、NHKのETV特集はよく観る。

『ETV特集』は、さまざまな社会問題を取り上げるドキュメンタリー番組です。考えるヒントを提供する「心の図書館」であることを目指しています。

こないだの岩崎航さんの特集もそうなんだけど、僕にとってはかなり貴重な情報を与えてくれることが多いからだ。

岩崎航さんの「生き抜くという旗印」を、僕も一緒に掲げていたいと思う
僕が最初に岩崎航さんを知ったのは、確かこの番組を観たときだったと思う。そして昨日、また彼の特集番組を観た。最初この2つの番組...

昨日は、こんな特集が組まれていた。

謎に包まれた名品、「曜変天目茶碗」

僕は昨日初めて、この「曜変天目茶碗」というものの存在を知ったんだけど、確かにこの神秘的な輝きには魅力を感じた。でもこの茶碗は現在世界で4碗(国宝3点に加え、2009年に中国で見つかったものを本物だとすると)しか見つかっていないうえに、800年前中国で作られていたらしいということ以上の具体的な製法は失われてしまっている。だから現代のあらゆる技術を駆使しても、その4点に並ぶほどの質のものは作ることができないということだった。

この番組ではそんな「不可能」に挑戦する陶工のひとり、長江惣吉さんに密着していたんだ。

夢ばかりを語る父親に、長江さんはずっと反発していた

そもそも長江さんがこの曜変天目茶碗を完全再現しようと挑戦し続けるのは、先代であるお父さんの意志を継いでいるという面もあった。でも、お父さんが何十年前、

お前も跡継ぎとして、そろそろ曜変の勉強をしなさい

と言っていたときには、

家業は継ぐ。でも自分はもっと伝統的なものを作っていきたい。だってそんな夢みたいなものばかり追いかけてもどうにもならないから

という想いで断っていたらしいんだ。それから親子の間には、ほとんど会話もなくなるくらいだった。でもやっと少しずつ心境も変化して、お父さんと和解しようという想いも出てきていた矢先に、お父さんが脳梗塞になって、そのままきちんと話せないうちに、亡くなってしまった。そこから長江さんは、お父さんの志を受け継いで、曜変天目茶碗を「完全再現」することに、自分の人生を懸けることを決意したということだった。

その「完全再現」に懸ける熱意は、ほんとに凄まじかった

長江さんはあくまでも「完全再現」にこだわっていた。その国宝になるほどの完成度と比較しても満足できるものができるまでは、中途半端な作品は発表しない。だから今はお父さんの作品を買い取ってもらったり、奥さんにパートに出てもらったりしながら、足りないぶんは貯金を切り崩しつつ、こどもも育てながら生活しているということだった。正直収支がどうなっているのかとかも気にはなったけど、それ以上に長江さんの鬼気迫るほどの情熱には、ほんとに圧倒された。

焼き始めてからは数十時間ほぼ付きっきりで窯の様子を見続ける。そして途中、湿度調整の機械の調子が悪くなったときには、直接自分の口から部屋に水を吹きかける。そして、お父さんが「幽霊を捕まえるようなもの」というほど難しいことを成し遂げるため、先祖にゆかりのある方角に向かって祈り、日々のできごとや想いは、一心に舎利禮文を唱えて仏壇の前でお父さんに報告する。この灼けるような執念が、画面を通してひしひしと伝わってきた。

でもこれは、長江さん本人も、

苦しくてしかたがない

と言っていたんだ。けど同時に、

でもこの苦しみは、明日破れるかもしれない。それに、あの世なんてものがあるかはわからないけど、いずれ自分がこの世を卒業するときに、「俺はやれることをやった」と思って死ぬためには、やり抜くしかないんです

とも言っていたんだ。そして、それを支える奥さんや家族の覚悟にも、心を動かされずにはいられなかった。でも長江さんは、若い頃は先代のお父さんの姿を好ましく思っていなかったと言っていた。夢ばかりを追い続けている姿に反発していたと。でも今、確かに長江さんは夢を負っている。決して生活はラクではないのに、それでも本気で夢を追いかけている。その理由を、本人は少ししか語っていなかった。でもその想いの凄まじさに、僕は圧倒されていた。

結局、長江さんはまだ曜変天目茶碗の完全再現には成功していない。でも確実に、成果を積み上げていた。それが長江さんが生きているうちに叶うのか、あるいは亡くなったあとに誰が継ぐのか、それはまだわからない。でもひとつだけ間違いないことは、長江さんはこれからもずっと、自分の道を貫くだろうということだ。

「失われた技術」っていうのは、実は他にもたくさんある

そして今回少し調べてみただけでも、かつて作られたものを再現できない、「失われた技術」っていうものは他にもまだまだあるということがわかった。たとえば工芸品に絞ってみても、特に「明治工芸」と呼ばれるもののなかには、そんなものがたくさんあるということだ。その一例は、このページにも出ていた。そしてここにも、曜変天目のことが書かれている。

TBSテレビ「所さんのニッポンの出番」サイト。毎週火曜よる7時〜日本の素晴らしさを再認識!世界に誇ろう日本人!。!出演者:所ジョージ,ビビる大木, 中丸雄一, 小林由未子(TBSアナウンサー)

ただこうやって「現代の技術では再現不可能」というなかには、

同じ材料がもう用意できない

仕組みはわかっているけどそれを実践できる職人がいない

とかの理由があるだけで、ほんとの意味で「神秘」とまでは言えないものもあるということを教えてくれているひともいる。

現在位置を確認します。の「現代の技術では再現不可能」の意味に関する詳細記事。(Powered by BIGLOBEウェブリブログ)「現代の技術では再現不可能」というフレーズは、古代史ミステリー本なんかを読むと、よく出てくると思う。

でも、やっぱりあるときから現代に伝わっていない、「失われた謎の技術」っていうのが存在するのも確かだし、それを復活させようと人生を懸けて取り組んでいるひとたちがいるのも事実だ。そしてその取り組みが、実を結ぶことだってある。

古代刀剣「七支刀(しちしとう)」(国宝)の復元を手がけた奈良県無形文化財保持者の刀匠、河内國平(くにひら)さん(72)=同県東吉野村=が、現代では不可能とされた&

それは、大変な道だろう。ほんとに、苦しいだろう。それは本人だけじゃなく、それを支える周りのひとたちにとってもそうだろう。でも僕は、やっぱり長江さんのようなひとを、かっこいいと思った。そして僕自身、たとえ職人じゃなくても、そんな「かっこいい生きかた」に近づきたいと思った。

だって僕たちの人生は、それぞれ同じものはない、たったひとつの物語なんだから。

だからよかったらこれからも、あなたの物語を聴かせてほしい。そして僕も、自分に悔いのない生きかたをしていきたいと思う。いつか誰かに読まれたときに、

僕は僕なりにやったよ!

って、笑えるように。



こないだ、「国内で4椀め(中国のも含めると5椀め)の曜変天目茶碗」が見つかったという話題がありましたが、

 テレビ東京は20日、鑑定番組「開運!なんでも鑑定団」の収録で、世界に3点しかないとされる「曜変天目茶碗」とみられる陶器が、新たに見つかったと発表した。現存する3点はいずれも国宝に指定されている。 テ

それについては長江さんご本人や他の方々からも疑義が出ているので、まだ真相はわかりません。ただいずれにしても、やはり本物は、とても貴重だということですね。

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