「世界は全体的に見れば明らかに良い方向へ向かっている」っていうのはきっと正しい。でもそのうえでできることは、まだまだたくさんある

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笑顔のこどもたち

こんな文章を見つけた。

G7伊勢志摩サミットでは、低成長のリスクや拡大した地政学的な紛争、テロ及び難民問題などが話し合われたという。いずれも決して明るい話題ではない。私たちの世界は悪い方向に向かっているのだろうか。

確かに、世界は全体的に見ればいい方向に向かっているんだと思う

この文章では、世界がいい方向に向かっていることを示すデータとして、こんなものが挙げられている。数値の出典は2016年5月9日の朝日新聞らしいんだけど、今それ自体を自分で確認することはできないから、孫引きになるけどそのまま引用する。

(1)1日1.25ドル未満で生活する極度の貧困層は、1990年の19.26億人から(世界の人口が90年の53億人から2015年の73億人へと増えているにもかかわらず)2015年には8.36億人へと半減以下に減少した(割合で述べれば36%から11%への減少)。アジェンダではマイクロファイナンスなどの提供を通じて2030年には0人という目標を掲げている。貧困こそが社会の不安定の根本原因であることを考慮すると、この4半世紀で最貧困層を半減させたことは偉大な成果と言っていいだろう。世界は明らかに良い方向に向かっているのだ。

(2)5才未満児の死亡率は出生1000人あたり90人(1990年)だったものが、2015年には43人へとこれも半減した。アジェンダではワクチン接種の普及や改良などで2030年には25人以下を目指している。

(3)若者(15~24才)の識字率は1990年の83%から2015年には91%まで上昇したが、アジェンダではスマホ等の活用によるSMS(ショートメッセージサービス)教育を普及させることにより2030年には100%を達成したいとしている。

(4)安全な飲料水を得られない人は1990年の12億人が、2015年には6億人へとこれも半減した(割合は23%から8%へと低下)。これをアジェンダでは汚れた水をきれいな水に変える濾過ボトルの活用等により2030年には0人にしたいと目論んでいる。

(5)栄養不良人口は、1990~92年の10.11億人が、2014~16年には7.95億人へと減少する見込みである(割合は19%から11%へと低下)。アジェンダでは難民への効率的な食糧支給等により、これも0人を目標としている。

(6)女性に平等なリーダーシップの機会を与えるべく、アジェンダでは各国の下院の女性議員の割合を2030年には男女イコールを目指している。1995年には11.3%だった女性議員の割合は2015年には22.1%まで上昇しているが(ただし日本は11.6%で大きく遅れをとっている)、この目標を達成するためにはクォータ制など思い切った施策を行う必要があろう。

(7)電力を利用できない人は1990年には20億人を数えたが、2015年には11億人以上と、これもほぼ半減近くまで減少した(割合は38%から15%へと低下)。アジェンダではすべての人に現代的エネルギーへのアクセスをということでこれも0人という目標を置いている。小水力発電や太陽光発電を貧困地域に普及させることがカギとなるだろう。

これを見ると確かに、世界の流れは全体としてはいい方向に動いているように思う。それにこれは僕自身の実感からもそう言える。たとえば僕が生まれるのがあと10年早かったら、僕のいのちは助からなかっただろう。でも僕がここにいられるのは、まさに「医療の発展」のおかげだ。そしてそれから20年以上経った今では、僕の出生体重のさらに半分くらい、700gから900gくらいのレベルの「超出生体重児」でも、生き延びることができる事例も出てきている。これはほんとに、すごいことだと思う。

それに僕が今生活の支えにしているいろんな福祉サービスのなかでも、最も根本的な「障碍者手当」だって、ほんの30年くらい前を見ただけでも、今よりもっと少なかった。もちろん「居宅介護サービス」なんかはもっと大変だった。もし今でもその状況が変わっていないとしたら、今の僕の生活がまったく違ったものになっていたことは間違いない。

あとはもちろん今から20年、あるいは10年くらい前でも、僕が書くこんな文章を日本中、世界中のひとたちに読んでもらえる環境に置けるなんてことはできなかった。少なくともその壁はもっと高かっただろうし、費用ももっとかかっていただろう。だから、僕が今こうして『四つ這いおとな』を立ち上げるなんてことは、絶対にできなかったと思う。それにそれだけじゃなくて他のひとたちが日々発信してくれるいろんな情報に触れられるようになったのも、もちろんインターネットとかの技術が発達してくれたからだ。だからこれはほんとに、僕にとっては「希望の光」そのものなんだ。

人間が想像できることは、人間が必ず実現できる。(一般にはジュール・ベルネの言葉とされてるけど、「捏造説」もあるからはっきりとはわから...

こうして考えるとやっぱり僕自身、世界は全体的に見れば確実にいい方向に向かっているっていうのはきっと正しいんだろうと思うんだ。

これからもいいところはどんどん伸ばしつつ、変えるところはどんどん変えていきたい

ただこれはもちろん「全体的に見たら」という前提があっての話だ。それは最初に引用した文章のなかにも、こう書いてあるとおりだ。

以上、世界が確実に良い方向に向かっていることを述べてきたが、もちろん良いことばかりではない。テロによる犠牲者数は2005年の1万4482人から2014年の3万2727人へと2倍強増加しているし(米国国務省HPより。なお、イラク、ナイジェリア、アフガニスタン、パキスタン、シリアの上位5ヵ国で約80%を占めている)、難民等の数は2004年の2170万人から2014年には6040万人へとほぼ3倍増を示している(外務省HP)。難民の約半分が18才未満の子どもであることを知ると本当に心が痛む。難民の発生国は内戦の続くシリアとアフガニスタンが群を抜き、続いてソマリア、スーダン、南スーダンの順となっている。また、エイズ関連の死者数も1990年の32万人が2014年の120万人へと急増している。

だからやっぱり、世界が「全体としていい方向に向かっている」っていうのが事実だとしても、「今の世界がいい世界だ」というのとは違うし、この方向性が逆転して、今より悪くなってしまう(全体としてみれば)ということだってあり得る。それに僕自身、さっきは「超低出生体重児がより助かりやすくなった」というところを見て素晴らしいことだと思ったし、それもそれで素直な気持ちなんだけど、一方で最近の「出生前診断」の進歩とそれを取り巻く価値観には、正直言って恐怖に近いものを感じている。そしてそれをみんながどう遣って、どう受け入れるかによっては、今後の社会が僕にとって「悪い」ものになる可能性も充分にあると思っている。

僕が「出生前診断」というものを知ったのは、確か2013年くらいだったと思う。その頃から、もうこの話題は賛否両論を巻き起こしていたけれど、世間...

だからこそ、僕は僕の望む世界を実現するために、できることはしていきたいし、自分のいいところはどんどん伸ばして、変えるところはどんどん変えていきたいと思う。

僕だって、この世界を作っているひとりなんだから。
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