あなたは僕と闘う必要はない。だってそれはもう、決着がついているから

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誇らしそうな女の子

生きることは闘いだ!

なんてことはもういろんなひとに言われていることだけど、それは確かに一理あると思う。特に今の社会が「資本主義社会」って言われてるならなおさらだ。だって「資本主義」っていうのは「お金主義」ってことだし、だいたい「カネ」って言葉に「金」(gold)って字が当てられてることからして、お金がいかにこの社会で大切にされているかがわかる。そしてそれは「お酒」や「絵画」みたいな嗜好品だけじゃなく、「生活空間」や「水」みたいな生きていくうえでの必需品にすらかかるのに、その分配には限りがある。だったら僕たちが、「生きるために闘う」のはしかたがないとも言える。

「生きることが闘い」だと言うよりも、「闘いのなかで生きるしかない」社会だっていう面がある

んだと思う。だから実際、この社会ではいつも、誰かが誰かと闘っている。もちろん、僕も、あなたもだ。

この社会のすべては、もう「市場」のなかに組み込まれている

僕は経済の専門家でもないし、経済学を専攻したわけでもない。でもこの社会の隅々にまで「競争」が行き渡っているのは、実感としてわかる。そしてそこでは、僕たちは「市場」のなかで、いつも「買い手」と「売り手」を行ったり来たりさせられている。もちろんそのときは、

僕たち自身が「商品」として競争させられている

とも言える。労働市場、恋愛市場、結婚市場……そんなありとあらゆる市場のなかで、僕たちは競争させられ、なんとかして自分の「優秀さ」を示さなきゃいけなくなってしまった。そしてその「市場」の範囲と影響力は、ますます広く、強くなっていくばかりだ。もう、「子役市場」も「お受験」も当たり前だ。「終活」だってしなきゃいけない。昔王様がピラミッドを建てたのと同じように、僕たちはいい墓に入って、いい供養を受けないと「負け組」になってしまう。じゃあ、競争しなくていいのは赤ちゃんのときだけかって?いやいや、僕たちはもう生まれる前から市場に組み込まれている。だって「出生前診断」っていうのはまさに、そういうことでしょ?

マタニティ・ゲノム。出生前診断の技術はますます進化していってるけど……
前に、って書いたように、僕は今日本でもどんどん行われている出生前診断には、とても怖さを感じているし、せめてもう少し、慎重に考えてほし...

だから今はもう、

受精卵から墓場まで、競争市場に組み込まれようとしているんだ

と思う。

「価値を示せ!相手に勝ってみせろ!」と言われ続ける社会

そんななかで僕達はいつも、

価値を示せ!相手に勝て!

と言われ続けることになる。だから、相手が初対面でも僕たちは、「年収」とか「学歴」とか「家族構成」、それに「住んでる場所」や「持ってるもの」なんかを伝えて、自分を評価してもらおうとする。でもそれはいつも相対的なものだし、相手の「手札」は相手が見せるまでわからない。だから、誰かに会った瞬間から、僕たちは緊張感と比べられる恐怖に晒され続けることになる。そしてその自分の「手札」すら、気付いたら失くなっているかもしれない。それはほんとに、怖いことだ。それは、

負けないだけじゃダメだ!絶対に堕ちるな!

って言われてることだからだ。

そして高みに上れば上るほど、そこから見下ろしたときの景色は、ますます怖いものになる

だろう。でもどこまで行っても上には上がいて、永遠に闘い続けなきゃいけない。そして下を見ないためにも、僕たちは闘い続けるしかなくなっていく。

でも、あなたは僕と闘う必要はない

そんな世界に慣れていくと、僕たちはいつしか「狂戦士」になっていく。周りはみんな敵だし、自分自身さえも敵だ。「昨日の自分」はいつも僕たちを追い立ててきて、

なにも進歩してないぞ!

なんて言ってくる。もう闘いの逃げ場はどこにもないように感じるかもしれない。

でも、あなたが今までどんなひとと闘ってきたとしても、あなたは僕とは闘う必要はない。だって、

僕はもう最初から、あなたに負けている

んだから。だから別にあなたの年収の話なんかしなくていい。素晴らしい家庭の話や、家の間取りの話、昨日行ったレストランの話とか、若かりし頃の武勇伝なんかしなくてもいいんだよ。だってあなたがそんなに「強い」ってことは、これ以上言わなくたってもうわかっているんだから。

白旗上げてる相手をさらに痛めつけるほど、あなたもヒマじゃないでしょ?

「自分にはなにもない」なんて言うのは、強い相手と闘いすぎてきたからだ

そんなこと言っても、あなたは

自分にはなにもないんだよ!

なんて言うかもしれない。でもそれは、あなたが強い相手と闘いすぎてきたからだ。僕を見て、そしてもういちど、自分の持ちものをよく見てみたらいい。そしたらどれだけあなたが僕よりたくさんのものを持ってるか、気付けるはずだ。もしそれに気付けないなら、僕が教えてあげるよ。僕はあなたより、あなたの価値を知っているんだから。

でもいちばん傍にいる自分自身がその価値に気付かないなんて、あまりにももったいないよ!

あなたはこれからも、たくさんのひとたちと闘わなきゃいけないのかもしれない。でもまずは、自分がなにを持っているのかを確かめることが大切だ。そして「宝の持ち腐れ」ほど、もったいないものはない。だから闘いに疲れたときは、僕を思い出してほしい。そしてあなたの持ってるたくさんの宝を、僕に見せてほしい。だってそれはすごく、美しいんだから。

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