四つ這いおとなの部屋探し体験記

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部屋探しをする男性

この時期は春からの新生活に向けて「部屋探し」をするひとも多いと思う。僕も今部屋を借りて生活しているんだけど、せっかくだからそんな僕の部屋探し体験記を書いてみる。

不動産屋さんに行く

部屋を探そうと思ったら、まずは不動産屋さんに行くひとがほとんどだと思う。それは僕も同じ。もしかしたら僕が知らないだけかもしれないけど、「障碍者向けの部屋探しに強い」不動産会社なんか知らないから、まずはどこか近くの、自分が住もうとしてる地域を扱ってる不動産会社に行くことにした。ここで入口に段差があったりすることもあるけど、そこは「お客さん」だから、スタッフさんもかなり協力的に助けてくれることのほうが多いと思う。だから、少なくとも僕にとっては、ここの段階はまだそんなに問題じゃなかった。

1階の部屋?それともエレベーター付き?

部屋探しはひとによっていろいろ優先したい条件があると思うけど、僕の場合はそもそも「部屋に入れる」ということが最優先事項になる。そして、僕は階段を上り下りできないんだから、いちばんわかりやすいのは「1階の部屋」に住むことだけど、1階と言ってもその下に駐車場スペースがあって、「実質は2階」って言う部屋も多いから、それも気を付けなきゃいけない。あと、1階は「カビやすい」みたいな欠点もある。

じゃあむしろ1階じゃなくてもいいから、その代わり「エレベーター」が設置されてる建物を選んでもいいんだけど、その場合はエレベーターの広さが盲点だったりする。車いすは場所をとるけど、狭くて入れないエレベーターなら意味がないからね。あと、古めのエレベーターだったら、「開いてもすぐ閉まる」ものがあるんだけどあれはけっこう怖い。「開」を押したままだと両手で車いすこげないし、ボタンを離すとドアが即座に迫ってきて手をぶつけたこともある。だから、「1階」とか「エレベーター付き」みたいな表面的な情報だけで安心してしまうと痛い目を見るってことを学んだ。

家の前の段差、玄関の広さも要チェック

あと、当たり前のことなんだけど、部屋に入る前には「家」に入らなきゃいけない。だから、家の前の段差がどうなってるかもよく見ておかないといけない。あと、僕の場合は車いすに乗って移動するけど、それは部屋の玄関に置いておく。だから、「その車いすを置けるだけの広さがある玄関か」っていうのも必須条件になるよね。

「デザイナーズ物件」は車いす乗りと相性が悪い

たくさんある部屋のなかでも、特に「見た目」(デザイン性)を重視したものを「デザイナーズルーム」(デザイナーズマンション・デザイナーズ物件)とか言うみたいなんだけど、僕の体験から言うと、どうやらそういう部屋は車いす乗りと相性が悪い。だって、

部屋のなかも車いすに乗って移動するんだったら、部屋が汚れるので困ります

とか、

あなたの車いすは屋内外共用ですよね?だったら車いすを置く玄関が汚れるし、出入りで玄関が傷つく可能性があるので困りますね

さらに予想外だったのは、

玄関にスロープを設置されると、うちの「洗練されたイメージ」が崩れてしまうので困ります。かといって部屋で保管されるのも汚れるのでちょっと……

なんて言われてしまったことだ。だから、「デザイナーズ物件」と車いす乗りはかなり相性が悪いらしい。

駅から近いこともかなり重要なポイント

あと、僕だってたまに「どこかに出かけたい」と思うことがある。じゃあそう考えると、やっぱり「駅から近いこと」もかなり重要なポイントになってくる。今の日本の都市部なら基本的に舗装道路がほとんどとはいえ、「坂道」や「雪道」は移動をかなり制限するし、躊躇させる。でも、それが地下鉄であれJRであれ新幹線であれ、「公共交通機関」の駅にさえたどり着いてしまえば、あとはその職員さんはかなり行き届いた手助けをしてくれることが多い。もちろん、「どう助けて欲しいか」をちゃんと伝えることは大切だけどね。でもそれさえきちんとできれば、僕みたいな「道を憶えられない車いす乗り」ですら、「道中ずっと車いすを押して、案内しつつ付いてきてくれる」なんてこともしてくれるんだよ。だからもちろんまだまだ「完璧」とは言えないにしても、公共交通機関の快適さは高まってきているんだから、それを利用しない手はないと思う。

選択肢が少なくても、諦めないで!

そうやって、僕は何度も部屋を探し、それなりの部屋には巡り合うことができた。それでもまだまだ、僕たちのような障碍者が快適に過ごせる部屋となると、選択肢はそう多くない。都市部でもそうなんだから、地方の田舎だとさらにそうだろうとも思う。家賃の予算だってあるし、すべての理想を同時に満たす部屋なんてなかなかないだろう。そもそも「保護者から離れて暮らす障碍者」というひとそのものが、まだまだそう多くないのがこの社会の現状だ。

でも、それでも僕が言いたいのは、

諦めないで!

ということだ。そりゃあ、これはあくまでも僕の体験に過ぎない。それに、ひとりひとりの状態はみんな違うんだから、僕の例がそのまま当てはまるとも思ってない。でももし、これを書いたことであなたが部屋探しをするときのなにかの参考にしてもらえたら、とても嬉しい。完璧な部屋はそうそうない。でも「できるだけあなたに合った部屋」を諦めずに探せば、それはきっとある。安請け合いしたいわけじゃないけど、だからもし、

親から離れて暮らすのなんて、絶対無理だよな……

なんて思っているひとがいたら、

そりゃあ簡単じゃないかもしれないけど、意外とイケるかもよ?

ってぐらいは言っておきたい。誰でも「新生活」を始めるのって期待と不安があるし、それに思い通りに行かないこともたくさんあるだろうけど、やっぱり自分は自分の人生を楽しく生きていきたい。その想いを持つことが悪いことなはずはないと思う。だから僕はあなたにも諦めないでほしいし、自分自身もその気持ちをずっと、忘れずにいたいと思う。

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